コムジェネレーターの製作

(2002.10月)
コム(Comb)とは櫛のことでコムジェネレーターとは日本語でいうと櫛形信号発生器です。
出力波形は時間軸で見ても周波数軸で見ても櫛の歯のような形をしています。

以前に中古でスペアナを入手したのですがそれにはプリセレクターがついていませんでした
そこでたまたま手持ちにあったフィルターを確認してみたところ電流/周波数特性がほぼ同じだったので
取り付けてみたのですが、やはりあるていど調整しないと受信周波数とフィルターのトラッキングがとれません
はじめは固定発振器をいくつか用意してトラッキングを調整してみましたが非常に効率が悪くなかなかうまく
いきません

そこでコムジェネレーターを作ってみることにしました
これならすべての周波数でできるだけ感度が高くなるように調整するだけなので簡単です。

他に用途としては出力に選択度の高いフィルターを付ければ100MHzから一気に10GHzなんていう逓倍器も簡単に
製作可能です。

製作したコムジェネレータの外観と内部回路です。


回路はとても簡単ですが 使用するダイオードに コムダイオード 正式名称はステップリカバリーダイオードと言う
ものを使用します。
普通のダイオードはご存じのように順方向は導通で逆方向には導通がありません
ところが電圧が順方向から逆方向に変わったときに逆回復時間と言うのがあってしばらく導通した後にOFFになります。
そこでふつうのダイオードは逆回復時間の長いものはONからOFFに変わる時間も遅いのですがこのダイオードは逆回復
時間は比較的ゆっくり(数十〜数百nS)ですがONからOFFに変わる時間が非常に短い(数十〜数百pS)のでこのときにコイルに
蓄えられたエネルギーが非常に幅の狭いパルスとして出力されます。

ダイオードには手元にあった NEC の 1SV107 というものを使用しています。


 できあがったジェネレーターを測定してみました。
バイアス電圧はとりあえず0Vです。(抵抗の片端はアースしています。)


 0 〜1.8GHz のスペクトルです。


 2〜22GHzのスペクトルです。
 この発生器を使って調整後の波形です。ほぼ10GHzまで等間隔で高調波が並んでいるのが見えます。


まだ作りっぱなし状態で回路の最適化もできていませんし 基板もその辺に転がっていたガラスエポキシ
基板の切れ端の上に製作したので テフロン基板等でちゃんとしたものを作ればもう少し周波数がのびると
思います。


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