PICを使用した8桁LEDカウンターの製作

(2014.9月22日)

以前から考えていたLED表示の周波数カウンターを作ってみました
PICを使用した周波数カウンターはいろいろな方が製作されていますが ほとんどの方が液晶表示器を使用していて
LEDを使用した周波数カウンターを作っている人はあまりいません。
それはたぶん 液晶は一度コマンドを送るだけで表示し続けるのに対してLEDは点灯中は常に表示データを送り続け
なければなければなりません。とくにダイナミック表示だと定期的に表示を更新し続けないと表示がちらちらします。
それでLEDは敬遠されているのだと思いますが 実はLED表示はかんたんなのです。
計測中はカウントはカウンターモジュールが行って結果をゲート閉の後に読み出すだけなので ゲートが開いている間は
PICのCPUはタイマーのオーバーフローを監視する作業だけでほとんど何もしていません。
オーバーフローも内部プリスケーラーを1/256にすると65536カウントに1回しか発生しません(ex.入力が65MHzでも1msに1回)。
この暇な時間にLEDをダイナミックスキャンするだけなのでプログラムは少し長くなりますがCPUの負荷はそれほど重くありません

PICを使用したカウンターではプリスケーラーを使わないと10MHzくらいまでしかカウントできません
またプリスケーラーを使うと分解能がプリスケーラーの分周比だけ悪くなります。
たとえば通常1秒ゲートだと分解能が1Hzですが1/10プリスケーラーを使うと10Hzになります。

その対策として有名な方法は
MicroChip社のアプリケーションノート(AN592)でPICの内部プリスケーラーを使用してゲートを閉じたあとにプリスケーラー内の
端数データを読み出す方法が発表されています。
この方法を使用するとPIC単体で抵抗を1本追加するだけで30MHz以上までカウントできるようになります。

抵抗1本使ったゲート回路だと入力に入れた抵抗とPICの入力容量でLPFが形成されそれで高い周波数に制限ができます。
そこで入力のゲートを74AC00を使った回路に変更して周波数特性を改善しました
これらの改造で1Hz分解能のままで50MHz以上でもカウントできるようになっています。
TCXOは12.8MHzのものが安価で入手できなくなったのでたまたま手元に大量にもっていた14.4MHzのものを
使用しています。

試作器の外観です

試作器で動作確認したところ入力周波数範囲は60MHzくらいまでは動作しているようです

試作器が結構結果が良かったので両面スルーホールのプリント基板を作ってしまいました
基板のサイズは 幅75mm 高さ85mm になりました

表示器は試作品はアノードコモンのLEDを使用していたのですがプリント基板版はカソードコモンに
変更しています。
セグメント側は電流が少ないのでマイコンで直接駆動できますがコモン側は電流が大きいので
トランジスタを入れないといけません。カソードコモンだとこのトランジスタに入手性の良い
NPNトランジスタが使用できるためです。
LEDはカソードコモンの青色が手元になかったので赤色を使用していますがピンは同じなので
青色が入手できたら抵抗値を少し変えれば青色も可能です。
製作したカウンターの外観です。

基板を途中で切り離すとこのような設置も可能です。
今回は90度に曲がったピンを使っていますが
ピンをストレートにしてもいいです。
切り離すときはVカットは入れていないので
押切りでカットしますが ないときは
カッターで両面に切目を入れておいて思いっきり
「バキッ」と折ります。


プリント基板の外形です。


内部回路です。

0dBm入力だと100MHz以上までカウントするようです。
今回のテストでは110MHzくらいまでカウントしました。
この辺は部品のばらつきもあるので安定動作は80MHzくらいだと思います。

ゲート時間を0.1秒に設定するとこのような表示になります。
最下位桁は常に0なので文字を小さくしてレンジがわかる
ようにしています。
1秒間に10回測定するので応答が速くなります。

とりあえず当初の目標の50MHz以上をカウントするようになりました
周波数の安定度もTCXOを使っているので±2.5ppm (この値は全温度範囲でのものなので
保証はないですが実力値では常温の室内では1ppm程度の誤差に収まっています)で
周波数の確認程度には充分な精度です。

問題点は入力アンプの感度が低いです。 テストしてみたところでは-3dBmくらい以下ではうまく測定できませんでした
0dBmだとうまく測定できているので原因は入力アンプにあり、
たぶん初段がFETのソースフォロアーでゲインがないので2段めのトランジスターだけで
増幅しているのでトータルのゲイン不足だと思います。
この部分は回路定数を少し変更してみたのですが特に改善ありませんでした
とりあえず外付けで一段アンプを入れて使用して使用するしかないようです。

(10/10) 上でゲインが取れないと書いたのですが初段のFETを試しに2SK192から
J310に変えてみたところゲインが約6dB改善しました。これなら約-10dBmぐらい
からカウントするので何とか使えそうです。
2段目の入力インピーダンスが低いことによるロスがあったのですがJ310の方が電流が
取れるのでインピーダンスマッチが改善されたようです。

(09/27) 青色LEDを何個か入手したので試してみました
抵抗値は赤色と同じでは電流が少なくなるので暗くなると思ったのですが結構効率がいいのかそのままでも思っていたより表示が明るいです。




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